MORIYOSHI PROJECT
ABC ( Abductive-art Collaboration )
森芳工場プロジェクト2003~2004 スタッフ一同
「森芳工場(もりよしこうば)」は、美術を始めとする様々な種類の創作活動を行う作家や学生が滞在して制作を行い、また地域の方と共同で創作活動を行ったり、出来上がった作品を展示・公開するための施設(一種のアーティスト・イン・レジデンス)として、今年4月より新たにリニューアルオープンする予定です。
この建物の前身である森山芳平織物工場は、昭和初期に建造されたもので、織物産業で栄えた桐生市に特徴的な「ノコギリ屋根」を持つ、延べ床面積約75坪の木造工場でした。
私たちのグループは、1994年に桐生市で「桐生再演〜街における試み」と題した美術展を開催しましたが、その準備活動の中で縁あってこの工場のことを知り、所有者のご好意で展示会場としてだけでなく、展示期間中の作家の滞在場所としても利用させていただくことが出来ました。
以降、約10年にわたる「桐生再演」の活動の中で、森山芳平織物工場は私たちの桐生における重要な拠点であり続けました。
昨年、建物の構造的な補強と、老朽化した部分の改修を目的とした工事が計画された際、私たちと所有者の間で話合いがもたれ、前述のような施設としていわば工場を「再生」させ、今後出来るだけ継続的に活用して行こうという合意がなされたのです。
この工事にあたって、私たちはこれをひとつの創作活動あるいはワークショップとして捉え、ボランティアスタッフとして設計を含め全ての工程に関わることを決め、工事の施主となる所有者からもそのような参加の仕方に対して許可を頂きました。
そして、「森芳工場プロジェクト」と名付けられたこの活動がスタートしたのです。
昨年5月には、設計の専門家による現状調査が行われ、調査結果をもとに設計作業が始まりました。そして、原則として建物の構造や形態は旧状を出来るだけ保存したままで補強を行い、老朽化した内外壁、屋根等を改修すること。またノコギリ屋根工場の特徴である北向きの天窓を生かしながらも、さらに光を採り入れるために南面を大きく開口すること、そして利用者が滞在して創作活動を行えるように居室部を設けることなど、改修の基本方針が立てられました。
7月になり、いよいよ実際の工事がはじまりました。最初の工程である解体工事は、ほとんど全ての作業を私たちのグループで行い、東京の美術大学の学生を中心に、多くの人がこの作業に参加しました。先ず仮補強を行った後、既存の屋根や内外壁を取り除き、建物を一旦骨組みだけ残した状態にしました。その後、基礎工事、本体工事、設備工事が行われ、私たちは各作業段階において施工にあたる専門業者に協力する形で、工事に参加しました。
昨年末に業者の工事がほぼ終了した後、建物周囲や庭の整備を行い、年が明けて1月には南側の道路に面した既存の塀を撤去したことにより、工場の全体の姿が正面から展望出来るようになりました。未完成の細部は別にして、これで当初予定された基本的な工程をほぼ終了しました。
「森芳プロジェクト2003〜2004」展では、工事過程の記録写真や映像などの資料展示を通じて、いわばプロジェクトの内側の視点から、半年間でこの場所に流れた時間を振り返ります。また、今回の展示のために制作された10分の1スケールの模型には、周囲の敷地を含む工場の現在の姿が抽象的な形で再現されています。この模型の上に、会期中にも、この場所の未来の姿が少しずつ重ね合わされていくことを期待しています。
私たちは、建物の改修が一段落し、この場所を地域の皆様を初め様々な人々に対して公開することが出来た今、「森芳工場プロジェクト」はようやくそのスタート地点に立ったのだ考えています。
今後、新しい「森芳工場」に様々な人々が集い、交差し、この場所が桐生の街の中で、新たな「姿」を獲得していくこと、その過程ひとつひとつが「森芳工場プロジェクト」の核心なのです。
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